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目に関するご説明

両国駅徒歩4分の場所に位置する『両国眼科クリニック』の医師が、化学傷、熱傷、スティーブンスジョンソン症候群について詳しくご説明します。

化学傷、熱傷、スティーブンスジョンソン症候群について

化学傷、熱傷について

目にやけどをおった、あるいは薬品が入ったことにより目がにごってしまった方や、スティーブンスジョンソン症候群という病気で目が見えなくなった方たちにはいままで治療の方法がほとんどありませんでした。角膜の真中を取り替えても、またにごってしまうという繰り返しになり、教科書的には角膜移植をおこなってはいけない状態と言われてきました。 最近は角膜の上皮を作る幹細胞(ステムセルstem cell)の移植が開発され、研究がすすんでいます。

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角膜の一番表面をおおっている上皮と呼ばれる部分は、白目と黒目のさかい(輪部と呼ばれます)で幹細胞 より作られます。ここが正常の場合は、移植した角膜の上皮が自分の上皮に徐々にいれかわっていきます。 しかし、輪部が障害をうけると上皮を作ることができなくなり、角膜移植をしてもその上に透明な上皮はは らなくなってしまいます。目に薬品が入ったかたや、スティーブンジョンソン症候群の方はこの輪部が機能 していないことが多いので、普通に角膜移植をして真中だけ取り替えても、しばらくすると目がにごってし まうわけです。 最近この輪部を移植する方法が考え出され、実際に患者さんに手術がおこなわれています。 輪部が病気になっている場合、たいていその周りの白目の結膜部分になんらかの障害があり、また涙が少なく なっていますので、輪部移植だけではなく、結膜部分もなるべく正常にもどすように羊膜(お母さんのおなか の中で赤ちゃんを包んでいる膜)移植をおこなったり、涙をおぎなうために 特殊な治療を組み合わせます。

ブルーバックス
「移植医療の最新科学」坪田一男著より

たとえて言えば、良い花(角膜上皮)を咲かせるために、良い土(結膜の部分)をととのえ、種をまき(輪部移植) 、お水をあげる(ドライアイの治療)のです。 種をまいただけではなかなか良い花が咲かないので、手術自体に工夫が必要なのと、手術後もたくさん点眼したり というメインテナンスが必要になります。 角膜の真中を普通に移植するのとちがい、移植後の拒絶反応が出やすいと考えられますので、手術に際し免疫抑制 剤が必要となりますので、入院しての手術となります。 当院ではこの手術はおこなっていませんが、手術に関しての相談は可能です。金曜日の移植外来、あるいは石岡院長 の診察日においでください。手術しなくとも、ドライアイの治療だけでかなり改善する場合もあります。

ブルーバックス
「移植医療の最新科学」坪田一男著より

輪部移植についての論文
*Tsubota K, Satake Y, Kaido M, Shinozaki N, Shimmura S, Bissen-Miyajima H, Shimazaki J. Treatment of severe ocular surface disorders with corneal epithelium stem-cell transplantation. N Engl J Med. 1999; 340: 1697-1703.

スティーブンスジョンソン症候群などの重症ドライアイに用いられている特殊コンタクトレンズについては吉野眼科クリニックを参照してください。スティーブンスジョンソン症候群友の会ホームページはこちらより参照下さい。

Boston Lensについての論文
*吉野健一. 「写真セミナー」 強膜レンズ. あたらしい眼科2000;17:977-978.
*Rosenthal P, Cotter JM, Baum J. Treatment of persistent corneal epithelial defect with extended wear of a fluid-ventilated gas-permeable scleralcontact lens. Am J Ophthalmol 2000; 130: 33-41.
*Romero-Rangel T, Stavrou P, Cotter J, Rosenthal P, Baltatzis S, Foster CS. Gas-permeable scleral contact lens therapy in ocular surface disease. Am J Ophthalmol 2000; 130: 25-32.